患者さんの声

第1回 外出する楽しみを取り戻すことができました


■ 大動脈弁狭窄症が見つかり大手術を受けるも、息苦しさやめまいは改善せず

心機能に問題があるとわかったのは、2015年6月のある夜中にこれまで経験したことのないようなひどいめまいに襲われたことがきっかけでした。検査で大動脈弁狭窄症(注1)が見つかった際、主治医の先生からは「これまで心臓にかなり負担がかかっていて、いつ心臓が止まって突然死していてもおかしくない状況です」と告げられ、大変驚きました。そこで同年8月に9時間におよぶ大動脈弁置換術(注2)を受け、先生が仰るには、弁の働きは改善されたということでした。

ところが手術後も、息苦しさやめまい、背中の痛み、立ちくらみは治らないままでした。それどころか、ちょっとした坂道を上るのも一苦労で、近所の郵便局へ行くのにも休みながらでないと歩けないほどでした。

ただ、定期検診ではとくに異常は見つかりませんでした。それまでまったく問題はなく、活動的に生活してきただけに、年齢のせいと言い聞かせながらもどうしてこんなことになってしまったのだろうと情けなく、落ち込む日々でした。

(注1) 大動脈弁狭窄症 - 心臓のなかにある弁(大動脈弁)が狭くなることで、全身に十分血液を送れなくなる病気
(注2) 大動脈弁置換術 - 機能しなくなった弁を人工弁に置き換える手術

■ 外出先で失神や倦怠感に異常を感じ、不安を感じる日々

2016年11月17日に長女と買い物に出かけた際に何の前触れもなく失神してしまい、その場に倒れ込んでしまったのです。幸い、娘が腕を支えてくれていたため怪我はしませんでしたが、気がついたときには目の前に床があり恐ろしい思いをしました。そのときは5 ~ 10分くらいで意識が戻りました。デパートの店員さんが「救急車を呼びましょうか」と言ってくださったのですが、そんな大げさなことはしてほしくなかったので断り、休憩所で半時間ほど休んだ後娘の車で家まで連れて帰ってもらいました。その後も体調がすぐれないことがあり、病院を受診してホルター心電図(注3)をとっていただきましたが、やはり今回も異常は見つかりませんでした。主治医の先生からは、「倒れたときにすぐに心臓の状態を測定できていたら原因がわかったかもしれない」と説明を受けました。

決定的におかしいと感じたのは、2016年12月8日に外出先で食事をした時のことです。電車で移動している最中から気分がすぐれず、食事もほとんど食べられないままお店を出た直後に意識が遠のいて動けなくなってしまったのです。この時も幸い娘や孫が一緒で怪我はせずにすみましたが、以前に主治医の先生から言われた「突然死」という言葉が頭をよぎり、とても怖い気持ちになりました。電車で帰れるような状態ではなく、タクシーで自宅まで帰り、すぐに娘たちが病院に連れていってくれました。

その日はちょうど病院に主治医の先生がいらしたので、心電図をとっていただいたのですが、やはり異常は見られませんでした。これだけ具合が悪いのに何の異常も見つからないこともとても不安に感じました。

(注3) ホルター心電図 - 胸部に電極を装着し、長時間(24時間)心電図を測定する検査

■ 植込み型心臓モニタ(ICM)を入れて2カ月で原因が判明

その際、先生から「原因を特定するために、植込み型心臓モニタ(ICM)(注4)を植え込んで、心臓の動きをモニターしてみましょうか」と提案がありました。早く原因を突き止めて、失神や歩けない状況を克服したいと思っていましたので「そんなにいいものがあるのなら是非」と言って、植込み手術をしていただくことにしました。

2週間後にICMの植込み手術を受けました。局所麻酔で手術時間は15分程度だったでしょうか、あっという間で拍子抜けしたほどです。大事をとって1日入院しましたが、その後の生活の中で痛みや突っ張りなどの不快感を感じることもありませんでした。傷もまったく気になりませんでした。後になってからICMの現物を見せてもらう機会があったのですが、本当に小さな機器で、これなら気にならないはずだと納得しました。

不整脈(一時的な心停止)が見つかったのは、ICMを植え込んでから2カ月後のことです。枕元に置いていた心電図データを自動で送る機器を通じてデータが病院に届いたらしく、翌朝「見つかりました。昨夜、睡眠中に4 ~ 5秒間の心停止がありました」と、主治医の先生からお電話があり大変驚きました。就寝中だったため、私自身はまったく気づきませんでしたが、先生からは「いつ亡くなられてもおかしくない状態でした」と言われ、原因がわかって安心したとともに、ICMのおかげで命拾いをしたと思いました。

数日後に通院したところ、先生から「原因がわかってよかったですね。ペースメーカを入れましょう」とご提案があり、2017年2月20日に植込み手術を受け、1週間ほどで退院しました。

(注4) ICM - 皮下に植え込み、数年間継続して心電図を記録する医療機器

■ 坂道をスタスタ歩けるようになり、周囲も驚くほどに快復

ペースメーカを植え込んでからは好調で、嘘のように歩くのが楽になりました。今では、以前のようにどこへでも一人で出かけられるようになりました。これまで、近所に住む長女・次女家族には、何かというと訪ねて来てもらい申し訳なく思っていましたが、術後は心配をかけることも減りました。

友人たちとの行楽で、私が上り坂をスタスタ歩いているのを見て、皆から「以前とはまったく違う」と驚かれたほどです。今春にもお花見に行く予定で、今から楽しみしています。ICMによって失神の原因がわかって安心でき、ペースメーカで快適に過ごせるようになって、本当に感謝しています。

患者さんご家族より
「ICMで原因がわかり、ホッとしました」

母は若い頃、バレーボール選手として東京都の代表になるほどの体力自慢で、歳をとってからも常に活動的に出歩いていたのです。その母が目の前で倒れ「一歩も歩けない」と言った時には、本当に心配しました。それまでまったく弱音を吐かなかった母がこれほど辛そうなのだから、よほど我慢していたのだろうと感じました。ところが、病院に行って調べても心電図には異常がなく、治療するすべもなく、不安が募りました。

母が倒れて主治医の先生からICMを勧められた際には、そんないいものがあるのなら、と二つ返事で植込みをお願いしました。そして、わりと早い段階で心停止が見つかった時にはホッとしました。本当にICMを入れてよかったと思います。むしろ、もっと早く入れていただきたかったくらいです。

その後、ペースメーカを入れてからの母は以前のように活動的になり、よくしゃべり、よく食べ、どこへでも一人で行けるようになり、とても嬉しく思っています。

それまでいつも心配で、一人で倒れていたらどうしようと、妹家族とともに皆でしょっちゅう母の家に行き、少しでも連絡がないと様子を見に駆けつけるという日々が続いていました。私も妹もフルタイムで働いているため、子供たち(母にとっての孫たち)も総動員でした。今は、大きな不安から解き放たれ、元気な母と過ごすことができて心より感謝しています。

*治療の効果や感じ方には個人差があり、本書はすべての患者さんが同様の結果を得られることを保証するものではありません。疾患・治療方針に関する詳細およびご不明な点につきましては、医師にご相談ください。

患者さんデータ

河野 幸子さん(仮名)
既往歴 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病
2015年8月 大動脈弁置換
主 訴 2016年11月 買い物中にフラつきを何度か経験し、失神で来院時は異常なく、ホルター心電図でも異常は見つからなかった
経 過 2016年12月21日 ICM植込み
2017年2月 4~5秒の心停止を数回記録。同月にペースメーカ植込み
2017年12月現在 その後失神はなく、ADL(日常生活能力)も向上し、経過は良好

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