専門医の取り組み

第2回 失神診療のいちばん大事なことは、問診力

失神治療を専門的に実施されている先生方に失神診断・治療におけるポイントや自施設での取り組みについて伺ってきました。

聖マリアンナ病院第二循環器内科部長古川俊行先生
前橋赤十字病院 心臓血管内科
副部長

今井 美智子 先生


失神診療のいちばん大事なことは、問診力

私が研修医を終えて循環器に進んだ2013年頃、まだ当院でも「失神=頭蓋内疾患」といった概念が定着し、当院でも失神は頭部系医師が診療にあたっていました。私も恥ずかしながら、意識消失と意識障害の定義が曖昧だった記憶があります。

当院は県内屈指の救急病院であり、屋上にはドクターヘリ、ERからはドクターカー、高度救命センターとして救命の砦の役割を担っています。半日の急患当番をしていると、多い日で3~4人の失神搬送にあたることもあります。

~心原性失神 植込み型心臓モニタとの出会い~
循環器1年目の時、86歳の女性が脳外科から紹介になりました。ADLの自立した非常に元気な方でしたが、初診時は採血、心電図、心エコー、ホルタ―心電図をしても異常がなく、症状再発時に再受診としていました。その後も1か月に1度、ほんの5~6秒の失神を起こし、頭に皮下血腫を作りながらも、ERを受診し創処置を施し帰宅となっていました。ある日、その方が自ら私の外来を受診され、開口一番こう仰いました。

「おかしいんだよね~。いつもな~んともないんだけど、急にくっと倒れちゃって。すぐ気付づいてなんともないんだよ。この間はね、お蕎麦運んでて、突然ひっくり返って、リュックで頭を打うたずにすんだんさね、なんなんかね~」と。

86歳と高齢でしたが、困っている患者さんをみて、心臓カテーテル、心臓電気生理検査を行う決心がつき、いざ施行しましたが異常はありませんでした。そこで当時発売してまだ間もない、植込み型心臓モニタに懸けてみることにしました。すると、わずか1週間後に失神を起こし、イベントが見つかったのです。今でもその記録(発作性心房細動が停止して洞調律に戻る際の約7秒の洞停止)をコピーして、その時の気持ちを忘れないようにしています。その後はペースメーカを植え込み、今も91歳ですが、それ以来、失神はなくお元気にされています。たった1週間の植込み型心臓モニタでしたが、「これのおかげだからね~」と大切そうに持ち帰ったのを今でも鮮明に覚えています。

それからというもの、私はより多くの失神患者さんの不安に寄り添い、原因を一緒にはっきりさせていきたいと思うようになりました。車社会の群馬県では、運転ができないことは生活や仕事すら変え、人生が変わってしまう患者さんも多く、非常に頭をかかえる問題であるのも事実でした。失神診療はエネルギーと時間を要しますが、患者さんの生活・人生を変えないようにできる限りのことをするということは私たちの使命だと考えています。

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