専門医の取り組み

第3回 前橋赤十字病院
T-LOCチェックリストのご紹介

失神治療を専門的に実施されている先生方に失神診断・治療におけるポイントや自施設での取り組みについて伺ってきました。

前橋赤十字病院副院長心臓血管内科部長丹下正一先生
前橋赤十字病院 副院長
心臓血管内科 部長

丹下 正一 先生


T-LOCチェックリストを作成した目的

当院では、T-LOC患者さんを診る可能性のある診療科とメディカルスタッフ間で、T-LOC患者さんに対する共通認識を持ち、的確に診断し適正に治療するという目的で、2018年に失神センターを立ち上げました。失神の原因疾患は多彩で、非常に多くの複数科の先生方が携わります。こういった中でハイリスク症例を見逃さないために、抜け漏れなく必要な情報を得て、そのうえで標準化した失神診療を行うために、T-LOCチェックリストを作りました。

T-LOCチェックリストのポイント

チェック項目については、適切にリスクを層別化できるよう国内外の失神ガイドラインを参照しました。電子カルテ上では、チェック項目は赤・黄・青に色分けし、ハイリスク群を確実にピックアップし適切な科で診療を受けられるように、色分けに従いトリアージしやすくしています。救急科の先生のご提案で、白黒印刷でも重要な項目が分かるように字体・太さも変えるなどの工夫をしました。

■赤の項目(斜体): 心臓血管内科コール
■黄の項目(ゴシック体):後日で心臓血管内科を受診
■青の項目(明朝体):低リスク項目

提供元:前橋赤十字病院

チェックリストのPDFはこちら

現在使用しているのはVer.3.0ですが、失神センターに携わる5診療科の先生方を中心にご意見を伺いながら、より的確な診断ができるようチェック項目の見直しを行っています。

T-LOCチェックリストを誰がどのように使用しているか

心臓血管内科・救急科・神経内科・脳神経外科・小児科の5診療科の先生方を中心に使用していただいています。T-LOC患者さんの受診先は、救急外来がもっとも多いですが、心臓血管内科、脳外科、神経内科、小児科の受診や、入院中の発症などもあり、受診先は多岐にわたります。最終的な受診先は、ほぼ救急科と心臓血管内科となっています。救急外来では、チェックリストを活用し、NMS、起立性、脳関連、状況失神について除外診断し、ハイリスク症例、心原性が疑われる時に心臓血管内科を紹介されたため、心臓血管内科入院になる失神患者さんのうち約半数が心原性です。

T-LOCチェックリストの活用状況

T-LOCチェックリストを使用した症例は、1年間で約160例でした。救急外来の失神症例が約210例なので、予想以上にチェックリストが活用されていることが分かりました。これらのチェックリストを使用した症例の約30%で薬物治療やデバイス治療等の処置がなされています。

T-LOCチェックリスト導入時のチャレンジ

導入当初は、なかなか浸透せず、T-LOCチェックリストの案内メールも読まれていない状況でした。定期的なミーティング、講演、症例検討、失神センターのデータ公開を行うことで、次第に浸透してきたと思います。関係する各科、メディカルスタッフ間の連携を構築することは大変ですが、非常に重要です。失神センターでは、皆で共通認識を持つために年に数回定期的に院内ミーティングを継続し、今後も院内の標準化・失神の効率よい診断と適正治療を進めていけるよう活動を続けます。

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